リンゴのウサギって、皮の部分も食べますか?
皆様こんにちは。河野商店です!
先輩の連載、第8弾です。ぜひお楽しみください!
毎週2~3回、銀座へ出向きボランティアにいそしんでいる。
マンションの一室が事務局となっており、そこでデータ入力をする。
私のような定年退職者、暇を持てあました者もいれば、大学生、主婦などメンバーは多彩である。
三々五々事務局に人が集まり、それぞれの仕事を消化して、用が済めば勝手に帰って行く。
私も午前11時から午後3時までここで過ごしている。
当然昼食をここで取る人もいるわけで(愛煙家の私は、一服も兼ね外出するが)、先日ボランティアの女性が弁当を使い始めた(弁当は「食べる」、ではなく「使う」が正しい。かつての話ではあるが)。
それとなく覗いてみるとデザートであろうか「リンゴのウサギ」(飾り切り)が目に入った。
「かわいらしいですね」と水を向けたらくだんの女史いわく「娘のお弁当の余りです」とのことであった。
弁当と言えば土門拳を思い出す。日本を代表する写真家の一人で「古寺巡礼」などはおなじみかもしれない(文章にも定評があった)。
リアリズムに徹したその作品群に「筑豊のこどもたち」がある。
その写真集の一枚、「弁当を持ってこない子」は1959年(昭34)に撮影されている。
戦後から14年、筑豊ではまだ給食が始まっていなかったようである。
子供たちの昼食時間、各自がアルマイト、小判型の弁当を使っているなかで、一人の少女は読みふるされ、表紙もボロボロになった雑紙を盾に、机に固まっている。
「弁当を持ってこない子」はこうして昼食時間を過ごす。
戦後のエネルギー革命に伴い石炭はあっさり見捨てられ、炭坑では廃坑が相次いだ。
大量の失業者、未曾有の貧困がこの一枚、写真に焼き込まれている(詳細は拙著「ぼちぼち歩こう 墓地散歩」に書いた)。
先輩、ありがとうございました!
皆さんも、「リンゴのウサギ」なんて懐かしいですね…久しくお目にかかっていません。
それでは、次回作、ご期待ください!