イチゴの季節は、そろそろ終わりですが…

皆様こんにちは。河野商店です!

先輩の連載、第11弾です。ぜひお楽しみください!

青木玉(あおき・たま)の短編集に「初めてのお年玉」がある。

要約すると以下のようになる。

母から自由に使っても良い、と手渡されたお年玉を持って玉(たま)は松坂屋へ出かける。
真っ先に購入したのは母への帯枕であった。以前より使い古されていたそれを幼子心にも気に掛けていたのである。
そして残ったお金で母の喜ぶ顔を思い浮かべつつ高級品であった苺を求め、一目散に家路へ急ぐ。
二人でささやかな贅沢を夢想したのである。我ながら賢明な判断であったと、小さな心は満足していたのだ。
家に戻るなり声を掛ける。しかし、台所での母の手は止まらない。急な来客に彼女はてんてこ舞いであった。
「苺…」玉がそうつぶやいた時、母はそれをひょいと取り上げ来客への馳走として応接間へと運んでしまった。
玉はもちろんがっかりする。

話はそこでひと段落する。
後日、母は花道の師匠相手にこんな言葉を口にした。
「女の子って変な所を見てる、一本やられてねぇ」
我が子の成長を嬉嬉として話すその姿に、幼心は救われる。
こんなストーリーである。

ちなみに青木玉の祖父は幸田露伴、母は名文家・幸田文。随筆家・玉は文豪露伴の孫にあたる。
付け加えるならば、露伴の墓は東京都大田区の池上本門寺、五重塔を見上げる場所にある。

先輩、ありがとうございました!

春先、いっぱいイチゴを食べましたが…。また、食べたくなりました!

それでは、次回作、ご期待ください!